平服とは?女性の法事・お別れの会・偲ぶ会・結婚式での服装を解説

平服とは?

女性の法事・お別れの会・偲ぶ会
結婚式での服装を解説

法事やお別れの会の招待状に「平服でお越しください」と書かれていると「そもそも平服って?何を着ていったらいいの?」と迷ってしまいませんか。普段着やラフな装いをイメージさせがちな「平服」の正しい装いや、シーン別にふさわしいマナーを解説します。

目次

公開日 : 2021.9.3

更新日 : 2024.11.08

1. 平服(へいふく)とはドレスコードのインフォーマル。「平服でお越しください」の意図

招待状に書かれている「平服」とは、どのような装いなのでしょうか。

「平服」は、平常着る衣服・普段着る衣服といった意味でとらえられることが多いですが、パーティーや結婚式、披露宴、式典、法事などの招待状に書かれている「平服」は、少し意味合いが違います。
招待状に書かれた「平服」は、その会のホスト(主催者)が、ゲストに格式ばらずにくつろいで参加してほしいという気持ちをあらわしています。そのため「平服」=正装を略した「略礼服/略喪服」、と捉えることが一般的です。
「平服」はドレスコード のどの格式に該当するのか知ると、「平服」の装いをコーディネートしやすくなります。
ドレスコードについて詳しくはこちら>>

「平服」は、ドレスコードの「インフォーマル」

まず、「フォーマル」「セミフォーマル」「インフォーマル(平服)」の3つのドレスコードについて、大まかな違いを把握しておきましょう。

最も格式が高いフォーマルは、主催者として行う格調高いシーンにふさわしい正礼装・正喪服と呼ばれる装いです。
2番目のセミフォーマルは、ゲストとして参加する際にふさわしい準礼装・準喪服を指します。つまり、フォーマルとセミフォーマルの大きな違いは「主催者側」か「ゲスト側」かということになります。

「平服」は、ドレスコードの3番目の格式の「インフォーマル」に該当します。インフォーマル(平服)は招待状に記載されている場合以外でも、お通夜で一般参列する場合や、三回忌以降の法事などで着用可能な礼装です。インフォーマル(平服)も立場は「ゲスト側」になりますが、セミフォーマルよりも格下なので、ルールが少しだけ軽くなります。

フォーマルに正喪服と正礼服があるように、平服にも略喪服、略礼服があります。一口に平服と言っても弔事と慶事ではマナーが大きく異なるため、着回しを考える場合は双方のマナーを理解した上で選ぶようにしましょう。

「平服」と「スマートカジュアル」の違い

「スマートカジュアル」は、ドレスコードの中で最も軽い7番目の格式に該当します。「平服とは?」と調べると「正装を略した格式ばっていない服装」と出てくることもあり、「スマートカジュアル」(=普段着よりもやや格式ばった服装)と混同してしまいがちです。実際は、ドレスコードが3番目のインフォーマル(平服)と7番目のスマートカジュアルには、大きな格式の違いがあると覚えておきましょう。

インフォーマル(平服)が上品なワンピースやエレガントなスーツといったフォーマル感のある服装であるのに対し、スマートカジュアルは、フォーマルとカジュアルの中間の服装やキレイめな普段着を指します。きちんと見えるワンピースやブラウスとスカートのコーデといった服装です。
スマートカジュアルはインフォーマル(平服)よりも格下のドレスコードにあたるので、TPOに合わせて着分けましょう。

スマートカジュアルについて詳しくはこちら>>

2. 平服の装いで、女性が押さえておきたいマナーとNGポイント

慶事・弔事それぞれに平服のマナーがあります。せっかくの式に水を差さないためにも、シーンごとのマナーはしっかりおさえておきたいですね。それでは、平服の装いで押さえておきたいマナーを具体的に見ていきましょう。

平服のマナー

平服のマナー① 肌の露出は控えるのがマナー

胸元や背中が大きく開いたものやミニスカート、体のラインが出るデザインのものは「平服」のドレスコードにはふさわしくないので気をつけましょう。

平服のマナー② 弔事の平服は「略喪服」が基本

弔事を「平服でお越しください」といわれたら、女性は「略喪服」が基本になります。略喪服よりも格式が高い「正喪服」と「準喪服」は漆黒のみですが、略喪服は黒か黒に近い色であればよしとされています。手持ちの黒のワンピースに黒のジャケットスタイルなどでもかまいませんが、喪服を含めた黒の礼服全般のブラックフォーマルから選ぶのが間違いないでしょう。

平服のマナー③ 慶事の平服は「略礼服」が基本

慶事の場合、女性の平服はカジュアルすぎないフォーマルな服装の「略礼服」が基本です。コーデに迷ったら、ブラックフォーマル以外の華やかなカラーフォーマルから選ぶのがおすすめです。フォーマルウエアは単色の無地がよいとされていますが、「平服で」といわれた場合は多色使いや柄物でも上品なデザインであればOKです。

平服のマナー④ メイクやヘアスタイルにも配慮を

メイクやヘアスタイルも清潔感があり、きちんと見えるようにしましょう。ヘアスタイルは、ダウンスタイルだとカジュアルな印象になるので、まとめるのがおすすめです。

平服で気を付けたいNGポイント

平服のNGマナー① カジュアルさやビジネスの印象を与える服装はNG

「平服でお越しください」と書いてあるのは、ホストの気遣いです。ゲストとして参加する私たちからホストへの気遣いとして、カジュアル感が強い装いやビジネス色が濃い服装で参加するのは控えましょう。ジーンズやスウェット、スニーカーといったカジュアルな服装やビジネススーツは避け、TPOに合った服装にしましょう。

平服のNGマナー② 生足やタイツはNG

生足やタイツもカジュアルな装いになるので、「平服」のドレスコードにふさわしくありません。特にカラータイツや網タイツはNGです。弔事は黒のストッキング、慶事はヌードカラーのストッキングを着用しましょう。ちなみに、弔事で着用する黒のストッキングは結婚式ではNGです。

平服のNGマナー③ 慶事に全身ブラックはNG

慶事はおめでたいことを「慶ぶ」場なので、お通夜やお葬式をイメージさせる全身黒づくめの服装はマナー違反になります。最近は慶事・弔事のどちらにも使える女性のブラックフォーマルもたくさんありますが、慶事に使えるブラックフォーマルを着用する場合は、明るいカラーのストールなどで華やかさをプラスしましょう。

3. 【弔事】法事・お通夜・お別れの会・偲ぶ会にふさわしい平服・服装

弔事では、急な弔問やお通夜、三回忌以降の法事に着用する「略喪服」が平服にあたります。

黒かそれに近いダークカラーのワンピースやスーツ、アンサンブルの他、パンツスタイルでもOKです。ロングヘアはまとめ、ナチュラルメイクで清潔感のある装いにするのが基本です。

お別れの会は故人が亡くなってから概ね49日まで、偲ぶ会はそれ以降に行われることが多く、49日を境にそれ以前がお別れの会、以降が偲ぶ会と呼ばれています。葬儀と違って宗教的な意味合いが薄く、弔事の中でも比較的ルールがゆるやかです。けれども主催者から「平服で」といわれた場合は、お通夜や三回忌以降の法事と同じように「略喪服」を着用しましょう。法要と同時に行われる場合は喪服の着用が必要なこともありますが、服装の指定がない場合も略喪服を着用するのが一般的です。

かけつけたお通夜の平服・服装

お通夜まで日数に余裕のある現代は準喪服での参加が主流になってきていますが、亡くなってすぐにお通夜が開かれる場合は「突然の訃報に準備もままならないまま参列した」という意味を込め、平服で参列するのが本来のマナーです。急なお通夜の際の平服は、黒や黒に近い色味のオフィススーツでも代用可能なので、平服としても使えるシンプルなオフィススーツを1着持っておくと便利です。ただしオフィススーツで代用する場合は、落ち着いた色合いと上品なデザインがマスト。柄の入ったものや丈の短いスカートなどはマナー違反になるので注意しましょう。

オフィス用としても平服としても着られる、ロング丈ワンピースとジャケットがセットになったアンサンブルスーツ。肌の露出が少ないロング丈ワンピースは、お通夜などの弔事にもぴったり。ウエストマークやタックなどの小技が効いた上品なデザインなので、ワンピースだけでもインフォーマルな装いとして着られます。平服として着る場合は、黒のストッキングを合わせるようにしましょう。

  • 女性の場合、平服でもインナーは黒系のもので揃えるのが無難です。インナーもセットになったセットアップスーツなら、1セットで急なお通夜に対応できます。すっきりとしたノーカラージャケットにウエストリボン付きのワイドパンツでスタイルアップ効果も抜群。体のラインを拾いにくいシルエットなので、上品さが求められる弔事にもぴったりなオフィススーツです。足元やバッグも黒系で揃えますが、エナメルやヒールの高い靴は避けるようにしましょう。

  • 三回忌以降の法事の平服・服装

    三回忌までの法事は準喪服での参加が一般的ですが、それ以降の法事は平服での参加が可能である場合が多くなります。親族だけでの簡単な会となることも多いですが、故人を悼む場としてのマナーを守り、上品なデザインのものを選びましょう。

    ワンピースやスカートスーツの場合はスカート丈に気をつけましょう。座った時に膝頭が隠れるスカート丈を選ぶのがマナーです。弔事の場では、お焼香などで立ったり座ったりすることもあり、フレアースカートは動作がしやすくおすすめです。

  • コクーンワンピースとパンツのセットアップの喪服。パンツ無で黒のストッキングと合わせても大丈夫です。寒さが気になるときや足を出したくない方におすすめです。

  • 多くの弔事に使われる喪服は、通年着用できるものを1着持っているという方が多いのではないでしょうか。でも季節によっては、暑く感じたり寒く感じたりすることも。特に夏の暑さが苦手という方は、夏向けの涼しいデザインの喪服がおすすめです。袖レースで夏の抜け感を演出するこちらのワンピースは平服としてはもちろん、セミフォーマルからスマートカジュアルまで幅広いシーンで着用でき、冬はジャケットやコートを羽織ってオールシーズン着られます。

  • 定番のワンピースアンサンブルの喪服は、暑い時期はワンピーススタイルの平服としても使えて便利です。略喪服ではなく喪服での出席が必要な時はジャケットを使うようにしましょう。

  • お別れの会・偲ぶ会の服装・平服

    お別れの会や偲ぶ会は、平服での参加が基本です。斎場だけでなくホテルやレストランで開かれる場合もあるため、会場によっては少し華やかさが必要な場合もあります。シンプルかつエレガントなデザインの平服ならどんな会場にも合い、小物をプラスすれば慶事にも着回せておすすめです。

    お別れの会・偲ぶ会は自由な形式で行われることが多いですが、どのような形式であっても略喪服で参加するのがマナーです。会場も斎場やホテルなどさまざまなので、開催場所に合った服装を心がけましょう。フロントにスリットが入ったクールなデザインのワンピースは、ホテルやレストランでの食事会やパーティー形式の会にぴったりです。

  • 袖コンシャスなケープ風のシルエットがエレガントなワンピースも、ホテルやレストランでの会におすすめです。華やかなデザインなので、明るめのストールを巻いてストッキングをヌードカラーにすれば結婚式スタイルになり、グレーのジャケットを羽織れば卒業式や入学式にも使えます。お別れの会・偲ぶ会は黒のストッキングと黒のパンプスで統一するのが基本ですが、アレンジ次第ですべてのフォーマルシーンに対応できます。

  • 上身頃部分に接触冷感生地を使用した夏向けの喪服ワンピースです。フロントにプリーツをあしらったトレンド感のあるデザインが、比較的ルールがゆるやかなお別れの会・偲ぶ会にぴったりですが、バッグをパーティバッグにするなどアレンジを変えれば、夏の結婚式や会食、お呼ばれと幅広く着用できますよ。

  • 最近はブラックフォーマルも様々なデザインが増えています。マナーを守れば定番デザインでなくても大丈夫です。
    こちらはブラウスとパンツのセット。ワイドパンツで体型カバー力の高いデザインです。シンプルなデザインなので喪服だけではなく、慶事や学校行事などにも活用できます。靴や小物などで変化をつけるようにしましょう。

  • 4. 【慶事】結婚パーティーや二次会・式典などにふさわしい平服・服装

    結婚パーティーや二次会・式典などでの平服は、上品で華やかな印象を与える服装を選びましょう。
    昼に行われる結婚式やパーティーでは、肌の露出を控えた光沢感の無い素材のワンピースやセットアップ、フォーマルスーツがおすすめです。
    夜のパーティーや二次会では、光沢感のある素材やラインストーンなどの光るアクセサリーを取り入れてもOKです。

    結婚パーティー・二次会の平服・服装

    結婚式やパーティーを「平服でお越しください」といわれたら、女性の場合はワンピースかセットアップが基本です。お祝いの席なので、上品で華やかな服装を意識しましょう。ダイヤ柄レースがエレガントなラベンダーカラーのワンピースは、おめでたいシーンにぴったり。七分袖なので肌の露出を控える昼間の結婚式やパーティーでも、ジャケットやストールなしで着用できます。

  • 結婚パーティーの平服として、肌の露出を控えたシンプルなワンピースがおすすめです。ジャケットがセットアップになっているので、昼はジャケットに光沢を押さえたパールなどのアクセサリーを、夜の二次会ではジャケットを脱いでラインストーンなど光る素材のアクセサリーをプラスしてパーティーにあう華やかさを演出しましょう。バッグはクラッチバックなど小ぶりのものを合わせましょう。ノースリーブワンピースの場合、肌の露出が多くなるため昼間のマナーではNG。夜ならノースリーブでも大丈夫です。昼と夜でジャケットONOFFしましょう。

  • お祝いの席に全身黒はNGですが、絶妙な色味の刺繍レースを使用した黒のワンピースならOK。バッグや靴を黒以外の明るいカラーで統一して、華やかな雰囲気を出しましょう。夜のパーティーや二次会なら、思い切ってシルバーのパンプスを合わせるのもアリ! 足元にアクセントが入るだけで、こなれ感が演出できます。

  • 上品な大人の落ち着きを演出する、ワイドパンツのセットアップドレス。光沢感のない素材なので、昼の結婚式やパーティーにおすすめです。抜け感のあるVネックが顔回りをすっきり見せ、繊細な袖レースが二の腕や手首を華奢見せします。ネイビーのブラウスとパンツそれぞれ単品使いもしやすく、毎日の通勤にも着回せますよ。

  • 式典の平服・服装

    会社の記念式典や祝賀会、入学式・卒業式などの式典でも、平服が指定される場合が多くなっています。入学式や卒業式などの学校行事で平服を着る場合は、園や学校の雰囲気から浮かない服装を意識しましょう。記念式典や祝賀会にゲストで参加する場合は「結婚パーティー・二次会の平服・服装」でご紹介したような華やかなドレススタイルが合いますが、ホストである会社側で出席する場合はセレモニースーツの方が良い場合もあります。式典に合うセレモニースーツの例をご紹介していきます。

    ベージュのパンツスーツは、入学式や祝賀会などの式典によく合うセレモニースーツです。白やベージュ、パステルカラーなどの淡い色合いのスーツは華やかさがあり、ハレの日にぴったりの装いになります。ふわりと広がるデザインのジャケットと細身のパンツとの対比で、脚が細く見えるのもうれしいポイント。どんな色にも合わせやすいので、小物まで全身白系で統一しても、カラー小物でポイントを作ってもおしゃれに決まります。

  • ツイード素材のスカートスーツは適度な華やかさもあり、どのような式典にもマッチします。特にネイビーは入学にも卒業にも使いやすいおすすめカラーです。膝丈程度のフレアスカートは、上品さが求められる式典にぴったりな上、脚を細く、長く見せてくれる効果もあります。式典ごとにコサージュやスカーフ、バッグなどの小物を変えて変化を付けても素敵です。

  • グレーもネイビー同様、どんな式典にも合わせやすいカラーです。こちらのセレモニースーツはパイピング付きのジャケットなので、中心に縦ラインが生まれてすらりとした印象にしてくれます。ペプラムブラウスがセットになっているので、ウエストや腰回りが気になる方にもおすすめです。

  • 5. まとめ:平服は、主催者に失礼のない服装

    平服の意味とさまざまなシーンで求められる平服のマナーを知って、TPOにあった平服コーデで充実の時間を過ごしましょう。

    ドレスコードについて詳しく知りたい方はこちら>>

    スマートカジュアルについて知りたい方はこちら>>

    平服(インフォーマル)より1段上のセミフォーマルについてはこちら>>

    ##監修者プロフィール
    川島 彩子
    カラーコーディネーター。インポートブランドのショップスタッフ時、人によって「似合う色」「デザイン」があることを知り、ファッションやインテリアの「色」について専門的に学ぶ。現在は、カラーコーディネーター育成の他、企業や地方自治体主催のカラーセミナーなどを精力的に行っている。

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