お葬式の服装マナー・女性の喪服の選び方について

お葬式の服装マナー

お葬式の服装マナー
女性の喪服の選び方について

急な報せに対応しなければならないのが喪服の悩ましいところ。特に、喪服を持っていない人や、持っていてもサイズが合わなくなってしまったという人は、新調するべきなのか、黒であれば自前のワンピースやスーツでも構わないのか迷ってしまいますよね。そこで今回は、ご遺族や参列者に非常識と思われないための喪服のマナーを徹底解説します。

目次

公開日 : 2024.1.26

更新日 : 2025.5.28

1. 喪服の種類とマナーの基本

喪服は格式によって「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類に分けられます。

正喪服

最も格式の高い喪服です。お通夜やお葬式で喪主や親族が着用しますが、近年は主催者側であっても、一般的な喪服の準喪服を着用するケースが増えています。

準喪服

一般的に喪服といえば準喪服を指し、葬儀や法事などの弔事で最も多く着用されます。お通夜やお葬式に一般参列者として出席する場合は準喪服を選びましょう。

略喪服

準喪服以外の黒のワンピースやダークスーツなどが、略喪服に該当します。「平服」という指定があった場合や、お通夜などの急な弔問に一般参列者として駆けつける場合に着用します。

基本的に喪服は、「喪服」として販売されているブラックフォーマルを持っていればOKです。ブラックフォーマルなら急な弔問でも失礼に当たらず、葬儀に親族として出席する場合も、一般参列者として出席する場合も対応できます。

2. 喪服のマナーと選び方のQ&A

喪服のマナーは昔も今も基本的に変わりはありませんが、時代とともに変化しているものもあります。ここからは、勘違いしがちな喪服のマナーについて解説します。

Q1:お通夜に喪服NGってホント?

A:正喪服(和装)はNG、準喪服はOK、急な参加や仕事場から向かう場合は黒スーツなどの略喪服でOKです。
お通夜は、前もって準備していたという印象を与えないように、かつては略喪服を着用するのがマナーとされていました。けれども最近では、お通夜に準喪服を着用するケースが増えています。ただし、正喪服の場合は親族以外が着用するのはマナー違反になります。女性の正喪服は、和装では「黒紋服」と呼ばれる着物ですが、近年は着用する人が減っています。準喪服が一般的になっているので、準喪服を持っていれば弔問全般に対応できて安心です。

Q2:殺生を思わせるものはNG?

A:かつては殺生を思わせるもの全般がNGでしたが、これも時代とともに変化しています。例えばバッグなどで、レザーやスエードのものしかない場合、黒で装飾がないものなら問題ありません。ただしこれは、あくまでもやむを得ないケース。光沢感のあるものはNGなので、マットな布製の小ぶりなハンドバッグが無難です。

靴は黒の無地の革・布製が基本。かつては革も葬儀や告別式などではふさわしくないとされていましたが、マットな質感のシンプルな革ならOKです。スエードしかない場合はスエードでも問題ありません。光沢感のあるエナメルなどはNG。ヒールもピンヒールなどではなく、3~4㎝くらいの太めのヒールがベスト。つま先が空いたオープントゥやつま先が尖ったポインテットトゥ、かかとなしのパンプスもNG。ストラップやリボンなどの装飾がない、プレーンなものを選びましょう。

バッグや靴などの小物類は革が許容範囲でも、コートの毛皮などのNGは昔と変わりがありません。ファーの付いたコートや革のコートなども避けた方が無難です。コートは黒が基本ですが、濃紺でもOK。無地で装飾が少なく、膝丈以上のものが理想です。ボア素材やダウンジャケット、トレンチコートなどのカジュアルなデザインも避けましょう。

Q3:真っ黒コーデなら、冬のタイツもOK?

A:弔事用のストッキングは、透け感があった方がよいとされています。30デニールぐらいならば、透け感がストッキングとあまり変わりがなく、少し厚めでも50~60デニール程度ならOKとなる場合もあります。ただし、寒い地方の場合や、妊婦さん、病気などで医師から指導がある方、また喪主か参列者かなどの立場の違いや式の格式などにより、許容される範囲は変わってきます。

喪服時のストッキングについて詳しくはこちら>>

Q4:アクセサリー類はすべてNG?

A:結婚指輪はOKですが、華やかなデザインの場合は外した方が無難です。ピアス・イヤリングもない方がよいですが、一連のパールネックレスなら着けてもOKです。時計も外すか、着けるなら目立ちにくい地味なものにしましょう。ちなみに念珠(数珠)は必須ではありませんが、日本人の常識としてあった方が望ましいです。

Q5:ネイルは手袋で隠したらいい?

A:日本では葬儀や告別式で手袋を着ける習慣がありませんが、素肌を隠すという意味で着けるのは問題ありません。ただし、お焼香を上げる際には外すのがマナー。このため、手袋を着けていても派手なネイルはNGです。凝ったネイルなどでオフしたくない場合は、応急処置として剥がせるタイプのネイルコンシーラーを上から重ね塗りすると便利です。

Q6:メイクはナチュラルメイク?

A:正解です。「片化粧」と呼ばれる、色味を抑えたブラウン系のナチュラルメイクがふさわしいとされています。リップもなしが基本ですが、最近は唇と同じ色程度であれば使用できるようになりました。ラメなどの派手なメイクは控えるべきですが、逆に全くメイクをしないすっぴんもNG。また、ヘアはロングの場合おろしたまま参列するのもマナー違反です。華やかな印象を与えてしまうポニーテールなども避け、耳から下の位置でお団子にするなどシンプルにまとめましょう。

3. 喪服を持っていないのは非常識? 購入すべき喪服とは

喪服を持っていないからといって非常識にはならないですが、葬儀の服装として準喪服が一般的になっている最近は、非常識な人と思われてしまうことはあるでしょう。喪服を購入する前に押さえておきたいポイントと、おすすめの喪服を紹介します。

大人の女性のたしなみとして1着は必要

喪服は購入するタイミングがなかった場合、持っていないこともあります。とはいえ黒の服で代用したまま済ませていたのでは、最後のお別れの時に後悔を残すこともありえます。また、最近は小人数で行われる家族葬などが増えていることもあり、そうした場では喪服以外の服装は目立ってしまう心配もあります。いざという時にあわてずに、ご遺族や参列者に失礼のないきちんとしたスタイルで故人を送り出すためにも1着持っておくことをおすすめします。

昔購入したままなら一度サイズの確認を

喪服は傷みにくいとはいえ、一生ものではありません。昔購入してからしばらく着用していないという場合は体に合わなくなっていることもあるので、一度サイズを確認しましょう。長く着たいなら、ジャストサイズよりも大きめやゆったりしたデザインが体型変化にも対応できます。とはいえ大きすぎるものや、逆にピチピチして体のラインが出過ぎてしまうものは避けましょう。

デザインも時代とともに変容している

喪服は光沢のない黒無地で肌の露出が少ないなど大事なところは変わっていませんが、時代とともに変容している部分もあります。例えば、昔は女性がパンツスーツを喪服として着用するのはマナー違反でしたが、最近は「喪服」として販売されているものであればパンツスーツも着用できます。また、ジャケットは襟あり・襟なしどちらでもかまいませんが、最近は襟のないノーカラージャケットが主流になっています。

マナーを押さえて美しく装える喪服5選

女性らしく装えて体型変化にも対応できる、おすすめの喪服を紹介します。

気品ある装いを叶える大人のアンサンブル

立襟とフロントのサテン切替デザインのジャケットで、美しい縦の流れを演出するアンサンブルです。女性用の喪服は、ジャケットとワンピースのアンサンブルが基本。襟ありのジャケットと、ひざ下丈のワンピースが王道スタイルです。ワンピースはウエスト部分の生地を浮かせたふらし仕様で軽やかさを出しつつ、お腹周りをふんわりカバー。パール調のアクセサリーは取り外しができ、シーンに合わせて表情が変えられます。

  • こなれ感を演出するニューブラックフォーマル

    最近主流のノーカラージャケットのアンサンブルです。襟元に抜け感が出るノーカラージャケットは、首回りをすっきり見せて小顔効果があります。ショート丈が目線を上に誘導して、スタイルアップ効果も。ワンピースは着るだけでこなれ感を演出する、アンシンメトリーのプリーツデザイン。最近はこのようにデザイン性の高い喪服も多く、上品でスタイリッシュな着こなしが叶います。

  • 喪服としてだけでなく着回せる

    パール調ボタンとケープ風デザインが、おしゃれな印象に格上げしてくれるニューブラックフォーマル。ワンピースはフロント部分のハイウエストなレース切替が大人可愛い雰囲気を演出するとともに、脚長効果で全身をすっきり見せてくれます。ジャケットもワンピースもさり気ないデザイン性があるので、それぞれ単品使いもでき、食事会やお呼ばれなど着回し力が抜群です。

  • 周りと差がつくパンツスタイル

    前プリーツデザインのブラウスと、ワイドパンツのセットアップ。パンツは格式の高さでいうとワンピースやスカートよりも下になりますが、「喪服」として販売されているものであれば着用しても問題ありません。漆黒のストレッチ生地を使用したワイドパンツは窮屈感がなく、喪服の堅苦しさが苦手という方にもおすすめです。

  • テーラーカラージャケットとブラウス、ストレートパンツの3点セットスーツ。ロング丈のジャケットとブラウスが縦の流れを演出して、すらりとした細見えを叶えます。パール調ネックレス付ブラウスで上品さもあり、パンツスタイルでも礼節に沿った気品のある雰囲気を演出してくれます。

  • 4. まとめ

    昔は喪服というとデザインが画一的で、マナーや決まり事も厳格でした。根底にある相手を思いやる気持ちは今でも変わらず、礼節ある着こなしが大切ですが、個性を大事にしながら美しく装える喪服の選択肢が広がっているのも最近のブラックフォーマルの特徴です。ルールや礼儀をわきまえつつ、自分らしいスタイルを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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    執筆者:ゆみ
    フリーライター。広告制作プロダクションを経て独立し、Webや雑誌でファッション、グルメなど幅広いジャンルで執筆。先住猫と保護猫2匹との生活を満喫中。

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